知っておきたい 高圧進相コンデンサ設備の正しい取扱い 一般社団法人 日本電機工業会 コンデンサ業務専門委員会 コンデンサ技術専門委員会 高圧進相コンデンサ設備は、系統の力率を改善し、電力のムダを省く機器として長年貢献しています。しかし、設置方法、取扱いが正しくないと、コンデンサとしての機能を果たさなくなるだけではなく、系統の短絡・地絡などの二次的な事故にもつながる可能性がありますので、正しい取扱いをお願いします。 1.コンデンサには、直列リアクトルを取り付けてください。 直列リアクトルは高調波による系統の電圧ひずみを改善するとともにコンデンサ突入電流を抑制し、かつ、異常電圧の発生を抑えるなどの効果があります。高調波などによるコンデンサの損傷を避けるためにも直列リアクトルの設置をお奨めします。 JIS(日本工業規格)及びJEAC(電気技術規程)で下記の通り規定されています。 JIS C 4902:2010(高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器) ⇒コンデンサには直列リアクトルを取り付けて使用することを原則とする。 JEAC 8011-2014(高圧受電設備規程) 1150-9 ⇒5.
直列リアクトル SR = Series Reactor 進相コンデンサに直列に接続される。 JISや高圧受電設備規程で、原則設置となっている。 直列リアクトルの効果 電力系統に存在する高調波を抑制する。 電力用コンデンサの開閉により、過渡的に発生する過大な電流・電圧などの特異現象による弊害を防止する。 リアクトルを接続すると、コンデンサの端子電圧は上昇するので、それに対応した定格電圧のコンデンサを使用する必要がある。 既設のコンデンサにリアクトルを追加で接続すると危険。 進相コンデンサと直列リアクトルの容量例 ■進相コンデンサ(L=6%対応品) 品番:AF702101KBC1 回路電圧:6600V 定格電圧:7020V 周波数:50Hz 定格設備容量:100kvar 定格容量:106kvar 定格電流:8. 75A 油量:6. 9L ■リアクトル 品番:CR702101KD06 定格容量:6. 38kvar ≒ 106 ✕ 6% 油量:45L 進相コンデンサと6%直列リアクトルの図 コンデンサの定格電圧7020V = 回路電圧6600V ÷(1 - 0. 06) リアクトルの定格電圧243V =(コンデンサ定格電圧7020V ÷ √3)✕ 0. 06 リアクトルとコンデンサの位相は180°異なるので、 回路電圧(線間電圧)6600V = 7020V - √3 ✕ 243 ≒ 6600V 旧JISと現JIS品の混在使用はNG 1990年版以前の規格に準ずる製品(旧JIS)と、1998年版以降の規格に準ずる製品(現JIS)を組み合わせると、規格改正前後で機器の定格が異なるため、インピーダンスのマッチングが変化してしまう。 混在使用すると、リアクトルの誘導性リアクタンスが6%にならず、コンデンサが絶縁破壊や過電流による焼損などの問題を生じる可能性がある。 関連リンク 進相コンデンサ SC - 進み無効電力による力率改善 高調波とは?リアクトル容量がコンデンサの6%、13%の理由
6%,8%,13%リアクトルの違いってなんですか 1人 が共感しています ベストアンサー このベストアンサーは投票で選ばれました 進相用コンデンサーによる回路の高調波障害対策のために設置する 直列リアクトルの、コンデンサーの容量に対する割合です。 例えば100kvrのコンデンサーに6%の直列リアクトルを設置する場合 その値は6kvrになります。 高調波が多いほど、対策用直列リアクトルの%は高くなります。 なお、直列リアクトルを設置すると、コンデンサーの定格電圧が高くなります。 回路電圧6600Vの場合、コンデンサーの定格電圧は7020Vとなるので注意が必要です。